【準備編②】勢いで決めた地方都市への移住と賃貸契約の実体験

地方移住・手続き

低資産セミリタイア生活のための居住地戦略

私の移住先と生活費について

 退職手続きと並行したのが、地方都市への移住だ。

 私は、退職前の有給休暇期間中の1か月間で、移住先の賃貸物件を契約することができた。

 移住先は、個人事業主としての収入が見込めるように、ギグワークという働き方(フードデリバリーや軽貨物配送など)ができる地方都市で、今住んでいるところから比較的近い場所を選んだ。

 移住先には数える程度しか足を運んだことがなかったので、どの辺りのエリアに住むかまでは決めていなかった。

 とりあえず、賃貸情報サイトで、以下の条件に絞って候補先をいくつか選び、内覧申込を行っていった。

  • 駐車場代込みで家賃が3万~5万円
  • 築年数が10~20年程度
  • 中心地までの距離が10km以内

 私が契約した賃貸物件は、築年数13年、延床面積30㎡程度のワンルーム、諸経費すべて込みで47,000円の木造アパートだ。

 私が選んだエリアは、山の中腹にあって、近くにスーパーなどの商業施設がないため、家賃が安く設定されている場所だ。私は車とオートバイを所有していたので、大きなデメリットにはならないと思った。

 自然豊かな閑静な住宅地で、中心市街地にもほどほど近くて、個人的には満足している。

毎月の生活費(予定)は、下記の通りだ。

項目費用備考
家賃47,000円共益費、駐車場代等の諸経費込。
ネット無料物件
。
食費40,000円自炊を中心。
水道光熱費15,000円プロパンガス物件。
携帯代3,000円格安SIMを活用。
日用品10,000円消耗品などの購入費。
娯楽費10,000円趣味の費用。
雑費20,000円車・オートバイの燃料費など。
合計145,000円毎月の生活費を15万円以内に抑え込む。

 家賃が5万円以内であれば、各項目ごとの支出を見積もっても、毎月15万円以内で収まる。

 毎月10万円をフードデリバリーなどのギグワークで稼ぎ、残りの5万円を資産運用益(2,500万円の資産から年利2.4%で取り崩す計算)から補填すれば、総資産を減らすことなく、長期的には目標額の3,000万円に届く可能性が高い。

 ただし、退職後1〜2年間は、この生活費に税金・社会保険料(住民税、健康保険、国民年金)が毎月5万円程度天引きされずに請求されるため、月20万円くらいを見込む必要がある。3年目以降はこれまでのライフハックを駆使してほぼゼロにできるため、退職直後の2年間の不足分に関しては、あらかじめ確保しておいた「生活防衛資金」を取り崩して賄う予定だ。

賃貸物件を選ぶコツ

  低資産セミリタイア生活を持続させるためには、居住地戦略が重要だ。

 会社員時代は「通勤の利便性」や「会社の近く」を基準に住まいを選んでいたかと思うが、セミリタイア後はその制約が消える。

 ここでは、一般的なセミリタイア生活を送る上で理想的な環境条件と、実際の私の環境条件を客観的に比較して紹介したい。

環境の軸理想的な条件実際の私の環境備考
住環境・家賃(管理費込)が3万〜4万円
・プロパンガスではなく都市ガス
・家賃が5万円弱
・プロパンガス
・ネット無料
・都市ガスと比べて、プロパンガスは年間約2万5千円ほど割高。
・ネット無料は物件によって、夜間の混雑時に速度が遅くなる可能性あり。
交通環境車が不要な交通機関が整った地域駅まで2km圏内(徒歩30分程度)私の場合、車とオートバイが移動手段。
商業施設・公共施設・徒歩圏内にスーパーやドラッグストアがある
・公立図書館や大きな公園が近い
・役所や郵便局へのアクセスが良い
・商業施設・公共施設まで5~10km圏内(車で10~20分程度)日常の買い出し、用足しには車やオートバイでの移動を前提としている。
気候・路面環境・年間を通じて温暖
・災害が少ない
・比較的、温暖・災害が少ない
・まれに雪が積もる
雪が降ると車がないと不便だが、将来的には車を手放して、冬季間はバスを利用する計画だ。
求人環境求人が安定しているフードデリバリー等のギグワークの求人が安定している・「特定の曜日だけ働く」「体調が良い日だけ稼ぐ」という自由な働き方が維持可能。

 実際の私の環境は、巷のセミリタイアブログが語る「理想的な条件」とは少し異なるかもしれない。しかし、より条件を厳密に吟味して街選びを行えば、基礎生活費を15万円から10万円程度にまで抑えることも十分に可能だ。

 セミリタイア後、できるだけ労働時間を減らしたいと考えている方は、これらの条件をさらに絞って物件を探すことをおすすめする。

賃貸契約で気を付ける点

入居審査について

 退職と同時に移住を考えているなら、賃貸物件の契約・入居審査も公務員時代に済ませておいた方が安全だ。 退職後では、どんなに資産があっても、家賃保証会社の審査によってははじかれるケースも珍しくない。

 ただし、在職中に「勤務先から片道数時間もかかる遠方の物件」を申し込むと、不動産屋や管理会社から「本当にここに住むのですか?」と不審がられるため、建前を用意しておく必要がある。

 「来期から遠方の部署へ出向(または長期研修)になる」「リモートワーク(在宅勤務)の比率が増えたため、実家(または地方)に拠点を移す」など、審査を通すための合理的な理由(建前)をあらかじめ考えておくとスムーズだ。

 なお、嘘をつきたくないなら「預金審査(残高証明)」を活用する手もある。不動産会社や大家さんの中には、銀行の預金残高証明書(家賃の1~2年分)を提示することで、入居審査をしてくれる場合がある。

 実は、私も預金残高証明書で入居審査を通してもらった。「無職=一律お断り」としている物件以外なら、きちんと預金残高証明書を提示すれば、賃貸契約できる可能性は非常に高い。

 素直に預金残高審査ができる物件を探していると正直に伝えるのも現実的なアプローチだ。

初期費用の罠

 私は、今回の賃貸契約の初期費用で総額25万円かかった。仲介する不動産会社によっては、本来払わなくてもいい料金を上乗せしている可能性があり、今にして思えば、私も正しい知識を持っていれば5万円以上は安く抑えられたと後悔している。

 これから賃貸契約を結ぶ方は、以下の注意点を参考にしてほしい。

 【実際の私の初期費用明細と注意すべき点】

項目金額注意すべき点
敷金50,000円原則として退去時の修繕費の預け金。
礼金49,000円大家への謝礼金。
業者が上乗せしている可能性があるため、相見積で比較しよう。
家賃39,000円前家賃として1ヶ月分を先払い。
諸経費8,000円共益費、駐車場代等の月額費。
保証会社加入料30,000円家賃の50%が相場。業者の上乗せを防ぐため、保証会社のパンフレットを確認しよう。
仲介手数料41,000円原則、法律上は家賃の50%まで。当たり前に上乗せする業者が多いため、相見積で比較しよう。
入居前クリーニング費10,000円どんな掃除をするか聞いた上で、不要な場合は交渉の余地あり。
火災保険8,000円業者側で保険会社を指定してくる場合もあるので、自分で選んだ安い保険に加入したい旨を伝えよう。
鍵交換費15,000円1万円程度が相場。
合計250,000円知識を持って相見積もりを取れば、数万円単位で削減可能。

仲介手数料

 原則として法律上、入居者から取れる仲介手数料は家賃の50%までと定められている。仲介手数料は大家からも受け取っているため、無料にや半額にしている仲介不動産屋も多く存在する。

 私の場合、当たり前のように家賃1ヶ月分以上の手数料を要求され、知識がなかったためそのまま支払ってしまったが、事前に複数の不動産屋で見積もりを取って比較(相見積もり)しておくべきだったと後悔している。賃貸物件のほとんどは、どこの仲介不動産屋からでも共通して紹介・契約が可能だ。

火災保険

 不動産会社が勧めてくる火災保険は、代理店マージンが上乗せされているケースが多い。契約時であっても、自分で探した安い火災保険への加入を認められるケースがほとんどであるため、ネットの無料一括見積もりを使い、補償内容が必要最低限に抑えられたプランを自分で選んで契約する方が合理的だ。これだけで数万円の節約になることも珍しくない。

 また、退去費用には火災保険を活用できる場合がある。もし、火災保険の補償内容に「借家人賠償の不測かつ突発的な事故」がついていれば、例えば、以下の場合でも入居期間中に火災保険で直すことができる。

  • 子供が室内で遊んでいて窓ガラスやテレビ画面を割ってしまった
  • 家具の搬入・模様替えの際に壁やフローリングを凹ませてしまった・傷つけた
  • 掃除中に棚から物を落として建具や洗面台などを破損した

 退去時のトラブルを防ぐためにも、事前にプランを比較検討しておくことをおすすめする。

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入居前クリーニング費

 業者によっては、費用だけを請求して実際の作業内容が不透明なケースがあるため注意が必要だ。具体的にどのような清掃を行うのか事前に確認し、不要と感じるのであれば交渉時に意思を伝えることが大切だ。

 実際、私の部屋も内覧時と入居時で状態がほぼ変わっておらず、本当に作業が行われたのか疑問が残る結果となった。

引っ越し費用

 引っ越し費用は、業者や時期によって価格の幅が非常に大きい。費用を最小限に抑えるコツとしては、以下の3点が挙げられる。

相見積もりを取る: 1社だけで決めず、必ず複数の業者から見積もりを取って価格を比較する。

フリー便を利用する: 時間帯を指定せず、業者のスケジュールに任せることで割安料金が適用される。

不用品を減らす: 荷物の総量を減らすことで、トラックのサイズや作業員の人数が下がり、基本料金が安くなる。

移動距離が長くなる地方移住だからこそ、まずは無料の一括見積もりサービスなどを利用し、各社の基本料金を客観的に比較してみるのが確実だ。

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おわりに:セミリタイア後の居住地選びは勢いも大事

 セミリタイア後の居住地選びは、考えすぎるいつまでも移住できなくなる。計算された条件だけでなく、現地の空気感や居心地の良さといった直感を信じて、ある種の「勢い」で選ぶことも大切だ。「住めば都」の精神で、自分が気に入って選んだ場所であれば、多少の不便さも楽しむ工夫が生まれる。

 また、仕事の縛りがない賃貸暮らしの強みは、「いつでも引っ越しの自由度が高い」という点にある。もし、実際に住んでみて現地の人間関係や環境が自分に合わないと感じたら、すぐに別の街へ拠点を変えることができる。

 引っ越しの実務的な手間を考えると、しばらくは現在の部屋に腰を落ち着けるつもりだが、「居住地をいつでも変えられる」という場所に囚われない生き方がセミリタイアの魅力の一部なのかもしれない。

 次の記事では、個人事業主としてゆるく働く私の日常を綴っていきたい。安定した仕事を捨てスキルがない状態から、個人事業主としてハードルを下げてゆるく稼ぐリアルな日常を紹介する。

【実践編】人間関係ゼロの働き方(※後日、掲載予定)

 または、公務員を年度途中退職した話(前回の記事)の解説に戻る。

【準備編①】公務員を年度途中で退職した話

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